◆2007/02/06 更新◆
１２月７日（木）
日比谷スカラ座で『プラダを着た悪魔』を観る。
圧倒的に女性が多い。カップルはほとんどいなくて、男性の１人客がちらほら。
仕事とプライベートのバランスと人生の目的についてのストーリー。
シリアスなテーマをコメディタッチで演出するサジ加減が絶妙で、これはアメリカ映画のお家芸といってもいい。観客をきちんと笑わせながらシリアスなテーマを展開させて、「おとぎ話」ではないラストに着地させる手腕は見事というほかない。
「仕事と恋に悩む女の子の物語」
それって日本のＴＶドラマの定番中の定番のテーマなんだけど、それら凡百の作品が到達しえない完成度がある。
おさがりみたいなセーターを着て、ドルチェ＆ガッバーナのスペルも知らない（だけど優秀な）女の子が半年働くと、ファッションが大好きで子供のころからハイブランドに憧れていた女の子よりも仕事ができるようになってしまう（残酷な）現実を描いている。そういう意味では決して「甘い」物語ではない。
伊東屋で部下への昇進祝いとしてウォーターマンのボールペンを買ってから、バーニーズでスーツに合わせるシャツを購入。
１２月１１日（月）
日比谷シャンテシネで『敬愛なるベートーヴェン』。
とても年齢層が高い。１２月になると《第九》が聴きたくなる日本人の心性（？）とも関係があるように思う。
通常のドラマツルギーにならえばクライマックスに据えるはずの「《第九》初演」のエピソードを物語の中盤に置いたのは（監督自身がパンフレットで語っているように、哲学的で）斬新な構成であることは間違いないが、それが観客のカタルシスにつながるかどうかは別の問題。
ベートーヴェンを演じたエド・ハリスの役作りはさすが。
夜、１人で近所の焼肉屋に行く。
途中から修行のようになる。
「何故我ハ肉ヲ焼クノカ？」
ひとりぼっちの食べ放題は哲学的ですらある。
話す相手がいないから、ひたすら焼く、焼く、焼く、休みなしで焼く。自分が食べるためだけに焼く。
耐久レースのようである。
１２月１３日（水）
後から振り返ってみると、人生は最適なタイミングで進行しているものだ。
人生の辻褄は合っている。
１２月１４（木）
新宿ミラノ２で『００７／カジノ・ロワイヤル』。
午前の回としては結構入っている。５０人以上。
ダニエル・クレイグは好きだし、脚本の完成度も高い。
だけど、いまいちハマれない。
テンションが上がらない。
爽快感がないのは「そういう脚本」だから別にいい。かといって、苦味が残るほどの残酷さもない。
京王のぴあで芝居のチケットを受けとった後、ヨドバシカメラでエアコンのリモコンを購入。
高円寺に戻って近所の中華料理屋で回鍋肉と餃子。
夜は三軒茶屋へ。
世田谷パブリックシアターで『ナイス・エイジ』（作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ）。
設定の説得力（特にＳＦ的裏づけ）は乏しく、プロットの進行はドラマの完成には向かわず、ストーリーはクライマックスを回避し続ける。ギャグなのか批評精神の現れなのか、判断に苦しむが、わかりやすい答えを提示することを確信犯的に避けていることは間違いない。事態が拡散したまま迎えるラストシーンは、世界に対する人間の“勝利”のように見えなくもない。世界の底が抜け落ちた後も生き続ける人間の姿。
劇場を出ると雨。冷え込んできた。電車の窓が曇って外が見えない。
１２月１８日（月）
ＴＯＨＯシネマズ六本木ヒルズで『デート・ウィズ・ドリュー』。
クイズ番組の賞金１，１００ドルを元手にして、３０日以内でドリュー・バリモアとのデートを目指すドキュメンタリー。
日本のバラエティ番組のような企画だが、夢と友情の物語になっている。
１２月２１日（木）
昼頃起床。家賃の振込みなど雑用をすませてから、最近みつけた近所の洋食屋へ。
ロールキャベツと帆立のグラタンのセットを頼む。
昭和の味というか、昔ながらの「町の洋食屋」（味も内装も接客も）。味付けはやや濃いめだが、本来洋食というのは味が濃いものであり、塩味がしっかり効いて、舌の上に立体的な味覚が構築される。舌の表面にしみ込んでいく素材と出しを探るように味わい分ける和食とは違う。
今度は夜に来てみよう。
表参道で髪を切った後、新宿西口の横丁でチャーハン。
夜は紀伊國屋ホールで『虹』（作・演出 青木豪）。
田舎町の教会。神父の家族とそこに集う信徒たち。
少しずつ見えてくる個々人の思惑や過去。中心が不在の物語は徹底的なまでにミニマムであり、「救い」などなくても生き続ける人々の姿を描く。
１２月２７日（水）
昨夜の東京は嵐。今日は雨は上がったが、風が強い。
録画しておいた『のだめ』の最終回を観てから銀座へ。
バーニーズのセールでネクタイを買う。ネイビー地に薄いブルーのドッド。
１２月３１日（日）
Ｔｉｍｅ ｇｏｅｓ ｂｙ．
Ｌｉｆｅ ｇｏｅｓ ｏｎ．