◆2005/11/03 更新◆
９月２日（金）
昨日、仕事にひと区切りついた。
天気も良く、休日らしい気分。
表参道の美容室で髪を切った後、渋谷へ。
ル・シネマ１で『メトロで恋して』を観る。
地下鉄で出会った男女が恋に落ちる……“フランス版電車男”（違うけど）。
定型的なストーリー展開に、いかに慣れているかということに気付かせられる。
恋愛には手遅れということがある。
新宿に移動して伊勢丹。
何も買うつもりはなかったんだけど、アニエスｂ．で見つけたシャツにひと目ぼれ。
ブルーとパープルとグリーンのストライプ。生地にハリがあってパリッとしているのがいい。即購入。
９月６日（火）
かけ違ったボタンは戻らない。
感情の不可逆性。
９月８日（木）
新宿オデヲン座で『Ｂｅ Ｃｏｏｌ』。
徹底的に馬鹿馬鹿しい愛すべき佳作。
このテの「西海岸映画」はたまに観たくなる。
明るく、乾いていて、ゴージャスで、ハッピー。
ジョン・トラボルタ最高！！
冷静沈着、タフでハードで、紳士的。
まさにクール。
９月９日（金）
昼はジム。
最近は低重量高回数セットを取り入れて、神経系の強化を目指している。
夜は池袋へ。
サンシャイン劇場でキャラメルボックス劇団創立２０周年記念公演『スケッチブック・ボイジャー』＜ＡＰＯＬＬＯ（アポロ）＞（作・演出 成井豊）を観る。
締切間際の漫画家が連載の最終回を編集者と一緒に描き上げるまでのひと晩の物語。
メタレベル（修羅場ってる漫画家の仕事場）とオブジェクトレベル（劇中劇である描きかけの漫画。未来の地球を舞台に、火星の羊飼いと王女様と宇宙海賊と海賊を追っている刑事と地球で最後の図書館の館長が入り乱れるスラップスティックなストーリー）が同時に進行していく。
メタレベルのキャラである編集者が、オブジェクトレベルに引きずり込まれる瞬間は、世界がぐにゃりと歪む気持ちよさがある。
初演は８８年。
８０年代的色彩の濃い脚本。最終戦争後の地球、メタシアター（劇中劇構造）。
確信犯と思われるＢ級ＳＦテイストには、初期の朝日ソノラマ文庫的な雰囲気が漂う。
羊飼いが地球を買い取るというネタにニヤリとするのはＳＦマニアの特権（『ノーストリリア』からの引用）。
ＴＶでも街頭でもＣＤショップでも、ちょっとした偶然で聴いた歌を「いい歌だ」と感じる確率は限りなくゼロに近い。
本も映画も芝居も同じこと。ひたすら読み続け、観続けるしかない。自分にとっての当たりに出会えるまで。
９月１３日（火）
新宿アカデミーで『ランド・オブ・ザ・デッド』。
ロメロ ｉｓ ｂａｃｋ！！
世界の作り込み、脚本の構成力、キャラクター描写……圧倒的。
希望があるようでないような中途半端な終末観が極めて２１世紀的。
世紀末を超えて、世界は続いていく。
９月１４日（水）
夜風がすっかり秋である。
残暑も過ぎ、夏が完全に終わったことを感じる。
９月１５日（木）
新宿武蔵野館１で『メゾン・ド・ヒミコ』。
それぞれの巣穴に立てこもった人々を横につないでいく物語。
以下、内容に触れる。
『金髪の草原』、『ジョゼと虎と魚たち』そして本作。
犬童一心作品は、わかりやすいハッピーエンドを迎えない。
にも関わらず、温かくやさしい印象が残る。
世界の残酷さと人生の無情を突きつけながら、希望へと着地する。
ラスト、壁に書かれたスプレー文字こそが他者（理解できないが故に理解することを切に望む対象）に向けられたメッセージそのものだ。
ルビイ（歌澤寅右衛門）のキャラが秀逸。下品でうるさくて、はた迷惑。だけど憎めない。
９月２７日（火）
送別会が嫌い。
盛大で大仰な送別会が好きじゃない。
「お世話になりました」「これからもがんばって」
別れるときになって、その人が“とても大切な人”であったかのように振る舞うのは白々しい。
本当に大切な人だったのなら、別れるそのときまでにたくさんの意味のある言葉を交わし、価値のある時間を過ごしていたはずで、そういう間柄の別れは逆にあっさりしたものになるはずだ。
「それじゃ」「じゃあね」
今さら言葉を紡ぎ出す必要がないほどの濃密な関係性が２人の間にあったのなら、送別会なんか必要ない。
だから、深く愛し合った恋人どうしの別れは静かで穏やかなものになる。
お互いに伝えるべきことは伝えきり、交わすべきことは交わした２人には、別れの儀式なんかいらない。