◆2005/07/19 更新◆
６月２日（木）
渋谷、アミューズＣＱＮシアター３『やさしくキスをして』。
映画とは世界をカメラで切り取った結果。
大多数の人々にとって、人生は悲しい出来事の連続だけでもなければ、常に喜びに満ちていることもない。ほとんどの人生はその両極端の間を揺れ動きながら、進行していく。
ケン・ローチが素晴らしいのは、作品内における「禍福のバランス」とでもいうべきものが絶妙であることだ。ハッピーでもアンハッピーでもない、コメディでも悲劇でもない、世界の現実へと作品を着地させていく。
６月７日（火）
新宿ピカデリー１で『ミリオンダラー・ベイビー』。
心臓に氷を押し当てられるような脚本。
これ以上は語りにくい。
６月１２日（日）
１００巻が出たのをきっかけに、先月から『グイン・サーガ』を再び読み始めた。本日５１巻『ドールの時代』読了。ほぼ１週間に１冊のペース、１ヵ月で約４冊。ということは１００巻にたどり着くのは約１年後。その間にもシリーズは続いているわけで。追いつけるのか？ 俺。
６月１６日（木）
新宿武蔵野館１で『最後の恋のはじめ方』。
アメリカ人はこのテのラブコメがつくづく好きだし、作るのが上手い。逆に言うと、日本的なしっとりしたラブストーリーは苦手（というか作れない）。
こういうのを観ると元気になれる。
それだけしか残らないんだけど、それでいい。
６月１８日（土）
『いつかパラソルの下で』（森絵都著 角川書店）読了。
２０代フリーターのユルい日常感覚が漂う前半から、後半、兄弟３人で佐渡に渡ってからがいい。
答えというほど大げさなものではないけど、ほんの少し人生が「前進」するような感触をそれぞれがつかむ。
結局、世界は生きている人間によって作られる。
６月２６日（日）
『ベルカ、吠えないのか？』（古川日出男著 文藝春秋）読了。
太平洋戦争末期、キスカ島に置き去りにされた４頭の軍用犬から始まる「２０世紀」という物語。
イヌの視点で語り直される『もうひとつの現代史』。
独創性と物語の緊密度において“世界文学”レベル。
文学は芸術であり、世界の認識を変容させることを読者に要求するのが芸術ならば、これは文学そのものだ。
６月３０日（木）
新宿プラザで『宇宙戦争』。
脚本、演出ともに凡庸。
キャラクターの描写はステロタイプ。キレる父親、不機嫌なティーンエージャー、泣き喚く子ども。
ラストのどっちらけ感は『Ｖ』、『サイン』に匹敵する。
テレビで放映されても観る価値なし。