◆2005/05/19 更新◆
４月１０日（日）
村上龍『半島を出よ』（幻冬舎）読了。
村上龍らしい、とてもイヤな感じの小説。多分、傑作。前半は冗長だが、終盤の緊迫感は見事。冒険小説としても一級品。
北朝鮮兵を初めて見たとき、少年たちが（北朝鮮兵の）仲間になりたいと思ったのは北朝鮮兵が「日本」を破壊に来たから。少年たちにとって「日本」は敵であり、だから北朝鮮兵は味方に見えた。が、少年たちのリーダー的存在（イシハラ）が、テレビの臨時ニューズを見ながら言う。「こいつらは敵だ。」と。その瞬間、少年たちは自分たちの「敵」の姿をはっきりと見る。最後まで、日本政府が福岡に侵攻した北朝鮮軍を（公式には）敵と認識しなかったのとは対照的である。
生きるためには敵と向き合って戦わなければならない。
少年たちは、自らの感覚に従って、現実と向き合い、戦っている。彼らにモラルがないことを批判することもできるが、モラルよりも、自由であることの方が重要であるという物語。
この主張に賛同することはできないが（モラルと客観性こそが現代において最も大切な資質である）、ひとつの世界観として理解することはできる。
４月１２日（火）
新宿ピカデリー１で『エターナル・サンシャイン』。
新宿で２番目に大きい映画館がガラガラ。観客は２０人ちょっと。
ため息の出るような傑作。恋愛の美しさと馬鹿ばかしさと喜びと哀しみが描かれる。
必見の１本。
４月１８日（月）
新宿ピカデリー１で『コンスタンティン』。
キアヌ、再び世界を救う……なんともやる気のないヒーロー像はちょっと新鮮。
アクションは新味に乏しく、展開はもたついている。
天使（ガブリエル）が人間の姿で登場するのは面白い。
４月２６日（火）
新宿武蔵野館２で『海を飛ぶ夢』。
何をもって生きているというのか。
生きているかどうか決めるのは自分。
死の物語であるが故に生きることについて考え込まずにはいられない。