５月

◆2003/05/26 更新◆

５月３日（土）

　今日は肉体労働の日。
　エプロンつけて、軍手はめて、終日力仕事。

５月５日（月）

　『永遠の出口』（森絵都著　集英社）読了。
　大人になった主人公が、小学校４年から高校卒業までの自分を振り返るという構図。
　小学生の無力感。暗黒の中学時代。楽しいようで不安定な高校時代。そして、今。
　『いま』の主人公の境遇が安易なハッピーエンドになっていないところが、素晴らしい。
　平凡だけどかけがえのない“自分だけの人生”。
　過去を語りつつ、現在を肯定して、未来へと進む力を示す。
　子供の物語だけど、まぎれもない“大人のための小説”です。

５月８日（木）

　１１時起床。
　渋谷へ。
　ブックファーストで『疲れすぎて眠れぬ夜のために』（内田樹著　角川書店）。
　シネマライズで『少女の髪どめ』を観る。
　『運動靴と赤い金魚』、『太陽は、ぼくの瞳』で観客の涙腺を刺激しまくってきたマジッド・マジディの最新作。とは言え、今作の泣きのツボは控えめ。
　子どもが主役だった前２作に対して、主人公の年齢を１７歳と高く設定したのも一因？
　アフガン難民の少女（劇中、ひと言もしゃべらない）に、絶望的な愛をささげる主人公の少年の姿が哀れで美しい。
　夜、仕事の書類作り。

５月１３日（火）

　「いま、やっていて楽しいと感じること」を積極的に行う（遠慮しない）というスタンスが、人生を楽しむ秘訣だ。
　「いま、楽しいと感じること」を１年後、１０年後も[楽しい」と感じるとは限らない。
　「いま、楽しい」と感じる自分の感覚を大切にしていい。

５月１５日（木）

　本日は雨。
　先週の休み（木曜）も雨だった。
　ちなみに先週の金曜から昨日までの間、朝から雨が降っていた日は１日もない。
　う〜ん、雨男？
　俺は非科学的なことはほとんど信じないが、自分が雨男ではないかという疑念は捨て切れないでいる。「雨男である」という現象は、シンクロニシティ（意味のある偶然の一致）としてあり得るのでないかと思いつつ、とりあえず今は梅雨が近付いているだけだ、ということにしておこう。
　昼から外出。
　表参道で髪を切った後、銀座線で渋谷へ。
　旭屋書店で『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』（立花隆著　文春文庫）、『中央線なヒト』（三善里沙子著　小学館文庫）を買う。
　センター街の中華料理屋でホイコーロー定食。
　新宿に移動して、ピカデリーで『シカゴ』を観る。
　原作は１９７５年初演のミュージカルの“古典”だけど、「セレブでなければ、生きていてもしかたがない」と云わんばかりのヒロイン（レニー・ゼルウィガー、キュート！！）の暴走ぶりは、高度資本主義社会の病理としての「原因のわからない満たされなさ」という今日的な問題に直結する。
　メディア（世間）によって高い評価を得ることが自分の欲望となるヒロインの姿を痛ましく感じつつも、結局は「人生は楽しんだもん、勝ちっ！」だとしたら、このままでもいいのかな、と思わされてしまう。
　少なくとも、彼女の生き方を否定する資格は誰にもない。
　テーマは重くて深刻だけど、華やかで徹底的に軽い演出のおかげで、圧倒的なエンターティンメントとして成功している。
　楽しむが吉？　か。

５月２６日（月）

　渋谷ブックファーストで『書店の近代』（小田光雄著　平凡社新書）、『日本の童貞』（渋谷知美著　文春新書）。
　新宿プラザで『Ｘ−メン　２』。
　１作目は題材自体の瞬発力（超有名アメコミの映画化）で引っぱれたけど、２作目は……。
　キャラクター群像劇の悪いところが出た脚本のせいで、正直苦しい。
　複数のキャラクターがそれぞれの過去と葛藤を抱えて交錯する群像劇は、成功すれば、立体的な世界観とダイナミックな展開が生まれるけど、脚本の整理が悪いとチグハグで落ち着かない印象しか残らない。今作がソレ。この展開ならジーンにもっとスポットを当てた方が、ストーリーに求心力が生まれたのではなかろうか？

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