◆2011/03/08 更新◆
７月２日（金）
決勝トーナメント１回戦、オランダ×ブラジル。
ハーフウェイラインからのロングスルーパス。斜めに走りこんできたロビーニョが決めてブラジル先制。
後半、ブラジル唯一にして“伝統”ともいえるＧＫと最終ラインのコンビネーション不足から失点して、オランダに追いつかれる。
オランダの逆転ゴールはコーナーキックから。
それまでスナイデルが蹴っていたがロッベンに交代。
ニアサイドに低くて早いボールを送り込むと、カイトが頭でそらしてスナイデルがヘディングで合わせた。
オランダは２−１にしてからの方がプレスをかける位置が高くなり、ブラジルの攻撃を雑にすることに成功した。
そのままタイムアップとなり、オランダ勝利。
でも、やっぱり今回のオランダは強くない。
後半ロスタイムの決定機もシュートまで持ち込めないツメの甘さ。
ペナルティエリア近辺までボールを運んだところで、攻めのスピードが遅くなるのが致命的。
特にファンペルシが悪すぎる。
動きにキレはなく、判断も遅い。
最終ラインもスピード不足を露呈して、チーム全体に優勝できるような雰囲気がない。
私が好きなオランダではない。
７月３日（土）
準々決勝、ドイツ×アルゼンチン。
帰宅したらドイツが先制していた。
アルゼンチンは攻撃にリズムがない。
ドイツの試合運びの上手さが光る。
攻めどき、守りどきの判断がチーム全員に共有されている。
ドイツの２点目が入ったところでアルゼンチンの心が折れ始めた。
攻撃の連動性は失われ、単独での突破に終始した。
メッシが代表で輝けないのはメッシのせいではない。
アルゼンチンというチームに問題がある。
昨日のブラジルもオランダにリードを許したまま残り時間が少なくなると、精神面の未熟さを露呈して自壊していった。
そう考えると、１回戦でドイツに敗れたイングランドの戦いぶりは見事であった。
攻守のバランスを崩してまで前がかりに攻めに出た結果、カウンターから失点を重ねたが、最後まで心は折れなかった。
準々決勝、パラグアイ×スペイン。
前半パラグアイのペース。
試合開始直後は高い位置からプレスをかけてスペインの出鼻をくじくと、ゲームが落ち着いた時間帯からは自陣で守備ブロックを築き、そこから時折繰り出すカウンターで何度かスペインゴールをおびやかした。
後半、両チームに与えられたＰＫをそれぞれのＧＫが止めあったところから、試合が動き始める。
スペインのパス回しのギアが１段上がり、パラグアイが振り回される。
シュートの跳ね返りを詰めていたビジャが蹴りこんで先制。これが決勝点となる。
ローリスクのオランダ、ドイツとは質の違うポゼッションサッカーを貫いているスペインだが、決勝点となったゴールはイニエスタのドリブル突破による速攻からの流れであることは指摘しておきたい。
７月８日（木）
ビデオに録った準決勝ドイツ×スペイン戦を観る。
ドイツが退いて待ち構えたせいもあるが、試合開始直後からスペインがボールを支配。
中盤で長短のパスを気持ちよくつなげていく。
ドイツは明らかに体力を温存。前半残り１０分を切ったところで、攻めに出て、攻めきれないと悟ると再び自陣に退いて守備ブロックを形成。
スペインはパスのリズムが一定でアイディア不足。ドイツの守りを崩しきれない。
後半、ドイツも前に出てくるが、攻撃の形を作れない。
スペインがドイツを押し戻し、流れを渡さない。
後半２８分、コーナーキックにプジョルがヘディングを合わせて先制。
その後はドイツが怒涛の攻めを見せるが、シュートまで持ち込めない。
が、何度かカウンターを食らいながら、追加点を許さなかったドイツ守備陣は見事。
これで決勝の組み合わせはオランダ×スペイン。
開催国とビッグ４以外が優勝するのは２回目（１９５０年ブラジル大会のウルグアイ）。
極めて歴史的な大会となった。
７月１１日（日）
決勝、オランダ×スペイン。
前半、デ・ヨングの横蹴りがシャビ・アロンソの胸にヒット。
一発レッドカードが当然のプレイだが、なぜか退場にはならず。
オランダが前に出ようとする時間帯もあったが、そのたびにスペインに押し返される。
オランダはこれまで通り守備重視のサッカー、対するスペインはポゼッション重視のスタイルを貫く。
カウンターから何度かオランダが攻撃の形を作ることはあったが、前後半を通じて試合の流れを握り続けたのはスペイン。
後半４２分、満を持して投入されたセスク・ファブレガスが試合の流れを決定づける。
中盤でリズムを作ると、延長後半１１分決勝点となるイニエスタへのパスを送った。
オランダはCBハイティンガの退場が痛かった。
最終ラインがそろっていれば、PK戦まで持ち込めた可能性もあった。
モウリーニョ・スタイル（ようするに守備重視のサッカー）が支配的だった今大会において、最後の最後でアンチ・モウリーニョ・スタイルのチームが優勝したのは予想外。
チャンピオンズ・リーグでのインテル優勝から、守備重視の非ポゼッションスタイルが世界の流れになるかと思ったが……。
準々決勝以降、試合を重ねるごとにチームの調子が上がってきたのが、これまでのスペインとは違った。
２年前のユーロ優勝が今大会のシミュレーションになったと云える。
結果重視のサッカーで挑んだオランダが、結局結果をつかめなかったのは哀れ。
「本来の自分たちのスタイル」を貫いたほうが悔いは残らないのではないかという気がしてくる。
自分たちのスタイル（華麗にして豪快な攻撃サッカー）を捨てて、ガチンコに徹して結局破れた結果にオランダ国民は納得できるのだろうか？
ましてや、スペインのサッカーがクライフの築いた「バルサ・スタイル」をベースにしていることを考えると、オランダ人の胸中は複雑だろう。
敗れてもなお、その国らしさを発揮すること。
その点においてドイツ、イングランドは見事であった。
３位決定戦、ウルグアイ戦でのドイツの逆転劇。
ゲルマン魂大爆発。
同点ゴールを決めたヤンセンが派手なガッツポーズをすることもなく「当然の仕事をしたまでだ」といった表情で辺りを見回したのが印象的だった。
決勝トーナメント１回戦、ドイツ戦でみせたイングランドの誇り高き特攻。
万死に値する誤審にも集中力を切らすことなく、捨て身の突撃を繰り返した（そして玉砕した）。
オランダ国民は決勝戦の「内容」に納得できるだろうか？
次のユーロに向けて、オランダがどんなチームを作るのか、とても興味がある。
参院選、民主党敗北。
敗因は消費税増税を唱えたからとされているが、自民党も増税をうたっているのだから、違うのでは？