◆2010/12/28 更新◆
６月２日（水）
南アフリカＷ杯開幕直前。
本田はコンディションが悪いのか？
代表チームにフィットしていないのか？
俊輔のコンディション次第ではあるが、俊輔とともに玉砕したほうが、後腐れがなく（チームも国民も）完全燃焼できると思う。日韓、ドイツ大会のときのような不完全燃焼はもうゴメンだ。
優勝予想はブラジル。
今回のブラジルは手堅い。
きわめて現実的なチームだ。
それはドゥンガがリアリストだから。
過去、ビッグ４と開催国以外で優勝したことがあるのは遠い昔のウルグアイだけ。
南アフリカには申し訳ないが、今大会開催国の優勝はあり得そうもない。
ビッグ４の中で最も完成度が高いのはブラジルでは？
６月１４日（月）
Ｗ杯始まる。
１次リーグ初戦。日本×カメルーン。
日本の勝因は先制した後、チーム全体の意思が統一されていたこと。
１−０を守りきるという点でメンバー間に合意が成立していた。
対するカメルーンの敗因はパワープレイを仕掛けるタイミングが早過ぎたこと。
後半途中からゲームを作ることを放棄していた。
中盤の不在（Ａ・ソングの欠場）により、エトーが右サイドでチャンスメイクに徹することを余儀なくされ、本来の持ち味である突破からのシュートという形が見られなかった。
日本がパワープレイに弱いのは歴史が証明しているが（それ故、カメルーンは早めにパワープレイを仕掛けてきた）、同じ過ちを繰り返さなかったのは、積み重ねた歴史のおかげ。
日本サッカーは後退していない。
岡田監督の選手交代には賛同できない点はあるものの（稲本の投入が遅過ぎる。下げるべきは長谷部ではなく、阿部ではないか？）、まずは１勝を喜びたい。
次のオランダ戦の展望だが、オランダはリスクをかけて攻めてはこない。９０分で1点とれればいいというペースでのんびりと攻めてくるだろう。
日本は今日のカメルーン戦のようにボールを持った相手に対して、２人、３人でプレッシャーをかけて局地戦を制していくことが大切。
２対２、３対３のように同数で向かい合う状況になってはならない。
自陣で数的優位を死守しつつ、カウンターのチャンスをうかがえばいい。粘り強さが求められる。
当然のことだが、初戦で勝ち点３をとった日本は、第２戦を勝ちに行く必要はない。
６月１６日（水）
スペイン×スイス。０−１でスイス勝利。
スペインはボールを支配していても、アイディアが足りなかった。
６月２０日（日）
イタリア×ニュージーランド。１−１のドロー。
陽気に応援するニュージーランドサポーター。
日本人には絶対できない。
どんな試合でも世界最終戦争のような面持ちで戦況をみつめてしまう国民性。
再び、日本×カメルーン戦について。
あの戦い方は日本人に向いているのではないか。
日本人は自分たちを攻撃好きとカン違いしていたのではないか？
守って守って、しぶとく耐え抜いた末に一撃必殺の特攻カウンターを繰り出すスタイルの方が、実は日本人向きなのではなかろうか？
オシムの幻影を追いすぎている。
「あのまま、オシムが続けていれば……」
もっとひどいチームになっていた可能性だってあるのに。
ありえたかもしれない架空のチームを理想化するのは馬鹿げている。それは実際に戦った岡田ジャパン（監督、スタッフ、選手全員）に対して失礼だ。
そもそもオシムは監督として（世界的には）大した戦績を残していない。
ユーゴスラビア代表の９０年Ｗ杯ベスト８はすごいか？ 負けた相手がマラドーナ率いるアルゼンチン（しかもＰＫ負け）ということを差し引いても、あくまで結果だけをみれば、あの時のユーゴのメンバーでベスト８というのは順当でこそあれ、躍進ではない。
論点がずれた。
オシムの悪口を言うのが本意ではない。
ただ、なしとげてもいない業績（「オシムが続けていれば、もっといいチームになった」）を評価する（？）論調に異議をとなえておきたいだけだ。
６月２４日（木）
スロバキア×イタリア。３−２でスロバキア勝利。
小国のしたたかさ。
３点目が見事。
スローインをＤＦラインの裏に放り込み、途中出場の選手が2列目から飛び出してループシュートを決めた。
ピルロの投入により攻撃のリズムが生まれたイタリアが０−２から1点返して押せ押せムードだっただけに（イタリアは引き分けでも１次リーグ突破）、再び突き放される３点目は重かった。
またまた、日本×カメルーン戦のこと。
海外メディアには「アイディアがない」と酷評されたそうだが、弱者には弱者の戦術があるのだ。
この文章を書いている現在はデンマーク戦のキックオフ（日本時間２５日ＡＭ３時半）の１時間前。
日本が1次リーグを突破できるかどうかはわからないが、どんな結果に終わったとしても、今回のＷ杯は大きな収穫があった。
アジアでは強者、世界では弱者である日本が、予選と本大会で戦い方を変えることの是非である。
ロースコアのゲームであるサッカーは番狂わせが起きやすい。
それ故、今大会の日本のように徹底的に守備を固めてカウンター１発を狙うスタイルは弱者の戦術として理にかなっている。
だが、本来の日本サッカーは違った。さかのぼればオフトの頃から（あるいはもっと前から）。
うろ覚えのまま書き飛ばすが、「アイコンタクト」と「ダイヤモンド」の重視。パスを足元にきちんとつないで、最後の崩しは攻撃センスあふれる１人のファンタジスタに委ねる。ラモスやヒデや俊輔のような。
それが日本のサッカーだった。
だから、今大会も４−２−３−１のワントップに森本、トップ下に俊輔、左右に松井と大久保（あるいは玉田）を配して、右サイドバックはもちろん内田。相手がどこであろうと、パスをつないでゴールを狙うスタイルを貫いてほしかった（そして玉砕してよい）。個人的にはそう思う。
だからといって、現実主義に路線変更した岡田監督を批判する気は全くない。
カウンター狙いのリアクションサッカーは日本人に向いているかもしれないのだから（日本人の特性である規律正しさと連動性が活かせる）。
もっと前に（守備重視への）決断をしていれば、この方向での完成度が高まって（個々の連携、カウンター精度の向上など）、もっといいチームになっていたのではないかという意見に正当性はあるにしても、大会直前になっての俊輔の不調はある種のアクシデントだ。それは監督の予見しうるところではない。
ボールポゼッションを重視するサッカーとリアクションサッカーの対比を理想と現実ととらえる向きがあるが、リアクションサッカーが悪と誰が決めた？
大会前、本田がこんなことを言っているそうだ。
「Ｗ杯が終わってもサッカーは続く」
試行錯誤でいいじゃないか。
サッカーはこれからも続く。
世界最終戦争じゃないんだから。
１次リーグ第３戦、日本×デンマーク。
立ち上がりはデンマークペース。
トップ下に入ると思われたトマソンが右サイドに流れて、そこから斜めにゴール前に入ってくるのをつかまえきれない。さらにデンマークのパスの出し入れが早く、中盤でプレスがかからない。
日本にとって極めて危険な時間が続く。が、松井の飛び出し、長谷部のフリーランニングからのシュートでチャンスを作ることで少しずつ攻撃のリズムが生まれてくると、前半１７分、本田の無回転ＦＫがデンマークゴールに吸い込まれて試合の流れを一気に引き寄せる。
高地での開催、軽い試合球ということでＦＫの決まらない大会となっていたが……（事実、ここまでで直接ＦＫを決めたのはナイジェリア戦での韓国のパク・チュヨンだけ）この男は魔人か？
２点目の遠藤のＦＫはデンマークのＧＫおよびＤＦ陣が日本をなめていた。
本田の左足だけを警戒した位置取りをとったＧＫには明らかに油断があった。
前半こそ組織的な崩しが見られたデンマークだが、後半はパワープレイに終始。
主審の微妙な判定（プレゼントともいえる）でＰＫを得たのはパワープレイが功を奏した結果だが、ＰＫを蹴ったトマソンが足を痛めて残り時間ほとんど動けなくなるという代償を払うことになる。ともかく、川島が弾いたボールを押し込んで、デンマークが1点返したことで２−１。
最も危険なスコアになってデンマークに傾き始めた流れを再び引き戻した３点目はしたたかであった。ゴール前でＤＦを背負いながら、ワンタッチで裏に抜け出した本田のアジリティは圧巻。その後の岡崎への横パスはクレバーだった。
いまさらながら、民放の実況のレベルの低さには辟易させられる。
目の前の試合についてコメントしろ。下馬評に反してアフリカ勢が苦戦していることは、今はどうでもいい。
番組表を見ると、このまま日本が勝ち進んだ場合、準決勝までは全て民放（地上波）であることを知り、うんざりする。
試合後の岡田監督の記者会見。
４−２−３−１でスタートして、トマソンに自由に動かれていたので４−３−３に戻した件について質問した「フリーランスの後藤さん」というのは後藤健生さんか？ だとしたら、さすがだ。
記者会見ものすごく面白い。スポーツニュースは抜粋（それも一番当たり障りのないところだけの抜粋）なのではなかろうか？
６月２５日（金）
ヨーロッパのテクニカルなチームが苦戦している？
６月２７日（日）
８試合中５試合が欧州勢、南米勢同士のつぶし合いとなった決勝トーナメント（ベスト１６）の組み合わせ。
１回戦、ドイツ×イングランド。４−１でドイツ勝利。
ドイツ２点目が素晴らしい。勝負どころでの決定力がずば抜けている。
後半、イングランドはディフェンスを捨てバランスを欠いた攻めに出た。
結果、さらに２点を失ってジ・エンド。
６月２９日（火）
決勝トーナメント１回戦、日本×パラグアイ。
日本は１次リーグの戦い方を貫いた。
延長に入ってからはパラグアイのディフェンスが雑で、日本の攻撃の方がゴールの予感を漂わせていただけにＰＫ戦での敗戦は悔しい。
パラグアイのベスト８進出は初めて。フランス大会での決勝トーナメント１回戦、フランスに延長後半で敗れてベスト１６止まり。
これがベスト８の壁なのだろう。
６月３０日（水）
オランダ○×スロバキア●
ブラジル○×チリ●
ドイツ○×イングランド●
勝った３国はいずれもローコストローリスクのサッカーに徹した。
攻撃への労力をできるだけかけないスタイル。
ドイツは元々そういう面もある（つまりは面白みに欠ける）サッカーだけど。
軍隊的というか、進め機甲師団みたいな。
ファンタジーを捨てリアリズムに徹したオランダとブラジルが激突する準々決勝はハルマゲドンのようだ。