◆2009/05/09 更新◆
２月３日（火）
晴れ。
日差しが柔らかい。
冬の終わりが近い。
新宿ミラノで『００７／慰めの報酬』。
観客は５０人以上入っていると思われるが、１０００人超の座席を持つ昔ながらの大劇場なので空いている印象を受ける。
シネコンの隆盛は老舗の大劇場を次々と閉館に追い込んでいる。渋谷パルテオン、新宿プラザ……新宿ピカデリーはシネコンとして再生して「別物」になってしまった。ミラノは数少ない（というか唯一？）の生き残り。
ストーリーは一本道。二転三転した前作のような複雑さはない。
２月５日（木）
人生死ぬまで練習だ。
２月６日（金）
どこに住むかが人生だ。
どんな街に住むかは、時としてどんな仕事に就くか以上に人生を左右する。
ＮＨＫ総合「世界ふれあい街歩き」を見ながら思う。
２月１３日（金）
１０時半起床。ジムに行き、昼食はソーセージとキノコのパスタ。その後、新宿ピカデリーへ。
昨年９月の日記で悪口を書いたくせに来たのは、スクリーンが大きく、きれいだから。
先週ミラノで観た『慰めの報酬』の画面が暗くて悲しかった。
その暗さも含めて映画だと思っていたが、人はこうしてテクノロジーになびいていく。
ロビーはかなりの混雑。
学生と老人が中心。
平日が休みの俺にとって、東京は若者と老人が多い街だ。
スクリーン１で『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』。３割ぐらいの入り。
劇中の主人公の台詞「人生はどうしようもないことの積み重ねだ」
自分の力でコントロールできないことに支配されていても、人生を堪能することはできる。
時間の経過とともに（肉体的には）若返っていき、（頭脳、精神は）老いていく男の生涯を描くことで、極限的なファクター（さながら思考実験のような）の導入によって、逆説として現実の姿を浮き彫りにさせる優れたファンタジーになっている。
悪い人が一人も出てこないことからわかるように、これは寓話なのだ。
説法みたいな映画とも言える。
夜、高円寺の定食屋で読んだコミック誌にて、是枝裕和の新作を知る。『空気人形』（原作業田良家！！）。
２月１８日（水）
晴れ。
ＴＯＨＯシネマズ日劇にて『チェ ３９歳別れの手紙』。
６００人超の劇場に３〜４割の入り。
水曜日（レディースディ）ということを考えれば相当空いているのでは。
『２８歳の革命』を観てもキューバ革命が成功した理由はわからなかったが、今作を観ればボリビアでの革命がなぜ失敗したのかがよくわかる。万人にとっての正しさを実現することの難しさ。
伊東屋で祖母に贈る桜のグリーティングカードを購入。
２月２０日（金）
朝、雨上がる。
日中はジム。
外に出ると青空が広がっている。
昼食は行きつけのパスタ屋でチキンとキノコのタリアテッレ。
夕方、渋谷へ。
ヒューマントラストシネマ渋谷で『ワンダーラスト』。
開場３０分前に買ったチケットが１人目。映画が始まって観客は７人。
負け犬人生万歳。価値を自分で作り出すことができれば怖いものなんか何もない。
２月２３日（月）
アカデミー賞発表。
ヒース・レジャーは下馬評通りに助演男優賞を受賞。
『スラムドッグ＄ミリオネア』が作品賞、監督賞ほか８部門受賞。チラシによると都内での公開は単館系の２館のみ（シャンテシネとシネセゾン渋谷）。上映館が増えなければ、かなりの混雑が予想される。
２月２４日（火）
朝、仕事の用事をひとつ。
その後、渋谷へ。
ヒューマントラストシネマ渋谷、朝イチの回で『ハルフウェイ』。
男のソロが俺を含めて７人。
意外といるものである。入りは２割弱。
ここで問題。
俺がこの映画を観た理由は次の内どれでしょう？
@北川悦吏子作品が好きだから
A北乃きいのファンだから
Bロケ地が小樽だから
……
正解はC岩井俊二のリリカルな絵作りが好きだから。
『花とアリス』（監督）の桜並木、『虹の女神』（プロデュース）の夕暮れの川辺……どれも素晴らしい。
以下、結末に触れる。
ラスト近く、受験のため東京に向かう（と思われる）男の子が駅まで自転車で来ている。
いつ帰ってくるのだろう？
東京に行ったとすれば、それまで自転車は放置？ それとも早稲田（彼が受ける大学）の入試は札幌でも行われるのか？
細かいことのように思われるかもしれないが、このシーンはそもそも説明なしに展開する。
つまり、主人公（ヒロイン）と男の子が何のために駅に来たのかを観客は想像するしかない。
それはそれで構わないのだが、だったら尚更ディティールに手を抜いてはだめだ。
北海道の受験シーズンなのに雪が積もっていないとか、ホームのアナウンスは「快速」と流れているのに列車の表示板は「普通」になっているなどの矛盾とは意味が違う。
試験会場（すなわち大学の所在地）が日帰りできるところにあるのであれば、ストーリー自体が成立しない（あるいは一昼夜以上、自転車を駅に放置するのか）。
普遍的な青春の物語として「どこかの地方都市」と見れば積雪云々はどうでもよいが、放置される自転車は無神経のそしりをまぬがれない。
ラストシーンの音楽室（？）。
時間軸において、これはいつの出来事だろう？
男の子の受験の前？ 後？
受験の後、合格発表の前か、あるいは合格発表後（男の子合格後）か。
それによってこのシーンの意味合いは確実に変わる。
もう１５〜２０分ぐらい尺を長くして、きちんと描くことはできるはず。
散々批判したけれど、主演の２人は悪くない。
特に北乃きいの独りよがりで不安定さを抱えながらも大人の階段を上りつつある少女の普通っぽい演技が絶妙。
全編手持ちカメラで撮影されたとのことだが、高い機動性によるドキュメンタリー風の仕上がりになっている反面、表現力がやや劣っている。北海道の秋空の青さを拾えているとは言い難い。それでも、空が広い感じはやっぱり北海道。
東急ハンズでエイグルのエコバッグを購入。道玄坂近くのパスタ屋でベーコンとキノコのトマトソース。
２月２５日（水）
フィクションに触れることは、結局現実逃避に他ならない。その入り口においては。