８月１日（木）
まずいものが食べられなくなったのは、年をとった証拠だ。
以前は、どんなにまずくても腹に入れることができた。
今はできない。
まずいものを食べると頭痛がしてくる。
８月７日（水）
今日は七夕。
外では鈴虫が鳴いている。
夜風が涼しい。
夏が終わる。
『寝ながら学べる構造主義』（内田樹 文春新書）読了。
構造主義の入門書としては、おそらく（現時点で）最良の１冊。
精確な文章と適切な比喩が見事。
「エクリチュール」の意味がようやくわかった。
８月１０日（土）
雨の日が続く。
今日で５日目。
釜の底が抜けたようなどしゃぶりが午後いっぱい降り続く。
ビデオで『アメリ』を観る。
赤を基調にした映像のセンスは圧倒的。
色々な意味で「病んだ」映画。
非常にとんがっている。
正直、万人受けするとは思えないんだけど、これがヒットするんだからわかんないものです。
実際には、観たけど共感できなかったという人も多いのでは？
休日はビデオで映画を観るのが「日課」になりつつあるんだけど、「当たり」はほとんどないのが現実（『アメリ』は！！だけど）。
「…」な作品については記述する意味がないと思うんだよね。
いまさらだけど「スタージョンの法則」は正しかった（『ＳＦの９０％はクズである……だが、あらゆるものの９０％はクズである』）。
吉野朔実が『こんな映画が、』（パルコ出版）の中で友人のこんな言葉を紹介している。
映画評を書いてる吉野が締切が近いのに「いい」映画に出会えなくて困ってると
「映画ってそういうものよ。大当たりがあって、その後はずっとはずれ続ける。こっちのテンションも下がってきて、もういいやって思うと大当たりに出会う。で、やめられないのよね。この繰り返しよ。」
僕はまだしばらく映画と付き合います。
８月１１日（日）
１日遅れだけど、祝コンサドーレ勝利！！
優勝争いは、アントラーズが（Ｆ．マリノスに）勝って、ジュビロが首位に。
Ｆ．マリノスは非常に苦しくなった。
１ｓｔ．ステージ終盤のアントラーズは、２ｎｄ．ステージ制覇に向けてギアが上がり始めている非常に危険なチームである。マリノスも充分にわかっていたのだろうが……。
ま、どこが勝とうが、２ｎｄ．とチャンピオンシップはアントラーズがとります。
８月１２日（月）
本日のひとこと。
「仕事は失敗して憶えるものである」
今日も雨。
昨日も雨だった。
１週間降り続いている。
８月１３日（火）
朝は降っていなかった。
買い出しに行こうと部屋を出て２分もすると雨滴が体に当たり始め、スーパーに着く頃には本格的な雨になっていた。
これで８日目。
『イリヤの空、ＵＦＯの夏』（秋山瑞人 電撃文庫）を読む。
これって、『妖精作戦』だよね。２巻目が学園祭の話だし。
『妖精作戦』は、ヤングアダルトとかティーンノベルとか云われているジャンルのパイオニア的存在である。疾走感のあるテンポの早い展開、等身大のキャラクター、サブカルチャーからの引用……ぜ〜んぶ、『妖精作戦』から始まったと云っても過言ではない。これ以前のジュブナイルは、「現役」高校生から見ると、キャラクターが嘘くさく、世界全体に「ハズレ」ている感が強かった。作者自身が楽しんで、無邪気に書きたいものを書いてみせた『妖精作戦』の登場は極めてセンセーショナルであったと云えよう。青春の喪失を描いた永遠の名作。
そして、『妖精作戦』の通奏低音である「戻らない時間、一度きりの瞬間」というリリシズムは『イリヤの空、ＵＦＯの夏』にも流れている。
世界設定は、ほとんど現代の日本。
ただし、ちょっとズレている（電波法の改正により、一般人がケータイを持てなかったり、中学校の敷地内に防空壕があったり）。
異常なまでに整備された計画都市。つまり、これはポストエヴァンゲリオン的空間なのだ。
『エヴァ』完結後、大方の予想に反して意外と亜流が生まれなかった「ポストエヴァ的日常」が、エヴァンゲリオン的なものを上手に咀嚼した上で提示されている。
主人公が中学２年であるのも確信犯（いわずとしれた『チルドレン』たちと同い年）。
とは云え、問題意識までも『エヴァ』と共有しているわけではなく、中身は「正統派」のジュブナイルである。
とにかく、この作者は筆力が抜群。
ファーストシーンの「夏休み最後の日の夜の学校のプール」から、ページを開けば一気読みは確実。
絶対的な世界の「わからなさ」に翻弄されて下さい。
８月１６日（金）
雨、やむ。
１０日間ふり続いた。
と、思ったら、夜から再び雨。
８月２０日（火）
午後よりすさまじいどしゃぶり。
昨日の洗濯がパア。
シャツもシーツもじっとり湿って、洗い直しが必要。
小倉、オールスター選出！！
柳沢と２トップだっ！
８月２１日（水）
『四月は霧の００密室』、『五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し』（霧舎巧 講談社ノベルス）読む。
「学園ミステリ」の雰囲気だけで「読まされて」しまう。
シリーズは始まったばかり。まだまだ助走の段階と云える。
これからの大技に期待。
８月２２日（木）
個人的に第三次ミステリーブーム到来の予感（第一次は小学生、第二次は大学生の頃）……っていうか、久し振りに読書欲が上がり始めている。
読みかけだった『捩れ屋敷の利鈍』（森博嗣 講談社ノベルス）を読了。
別のシリーズのキャラクター同士を「共演」させても、作品が壊れていない。
森ミステリの魅力を解く鍵はこの辺りにあるように思う。
８月２４日（土）
Ｊリーグオールスター。
キックオフ前にスタメンの紹介はなし、と。
プレイ中に「堂々と」ＣＭが入るし。
くたばれ、テレビ朝日。
ＥＡＳＴの２ゴールはいずれもＦＷの突進力で奪ったゴール。
先制点はグッドゴール。
柳沢の動き出しは、タイミング、角度、速度全て完璧。
小倉のパス、柳沢のシュート、キーパーこぼして小倉のゴールという一連の流れは、練習のよう。
レフティモンスター健在、といったところか。
しかし、それ以外は凡戦。
オールスターの歴史の中では、つまらない試合だろう。
中盤にストイコビッチ、レオナルド、ジョルジーニョを配して、流れるようなパスワークとアーティスティックな展開、そしてダイナミックな攻撃を見せた頃が懐かしい。
来週から２ｎｄ．ステージが始まるけど、コンサドーレは苦しいねえ。
山瀬の離脱が痛すぎる。
残留はほとんど奇跡に近い。
がんばれ！！
８月２６日（月）
『３×３ＥＹＥＳ』が終わる。
９月発売のヤンマガ増刊に最終回がのるそうだ。
「ごく普通の高校生が人外の女の子と出会って大冒険に巻き込まれる」ていうパターンでは史上最高に面白かった……５巻までは。
６巻以降はあきらかにパワーダウン。
ところどころ、いいエピソードはあるものの（○○○が死ぬところとか）、全体として散漫。
キャラクターのコンフリクトがはっきりしなくて、ストーリーもぶらつき、二流の漫画になっていったところで読むのをやめてしまった。
現在『アフタヌーン』で連載中の『幻蔵人形鬼話』もつまらないわけではないけれど、良くも悪くも「フツーの漫画」の域を出ない。これを読む限り、高田祐三の漫画力が往年の冴えを取り戻しているとはとても思えないんだけど、それでも一抹の期待をしてしまうのは、かつて『３×３』に思い入れたファンの悲しい性。
最終回だけ雑誌で立ち読みして済ませるか？ 単行本をきちんと順番に買って、正しく最終回を迎えるか？ それとも『３×３ＥＹＥＳ』という作品自体を青春の１ページとして記憶のアルバムにしまい込み、最終回そのものをなかったことにしてしまうか？
う〜ん、発売直前まで悩みそうだなあ。
だって、本当に良かったんだって！ （５巻までは）
第１話ラストページの八雲の台詞。
日常から少しずつ非日常にずれていく感触が素晴らしく、舞台を香港に移してからは土地の華やかさを完璧に使いこなしていた。
そして、第２部の構成全体に仕掛けられた悪魔的とも云える『あの』トリック。
第２部のクライマックスシーンは漫画史上に残る名シーンであろう。
ああ、終わるのかあ、ついに終わるのかあ……。
う〜ん、どうしよう？
８月２８日（水）
ビデオで『空の穴』を観る。
誰ひとり、幸せになれない映画。
だけど、多分、人生なんてそんなもん。
ラストの手紙の内容が全く説明されないので、色々解釈できる。
たとえば、思いっきり楽天的（能天気）に推測すると、手紙の文面は「東京に会いに来て」という内容で主人公は東京を目指して旅に出る……という結末も想像できる（ほとんど妄想エンディングだけど）。
だけど、東京行ってタエコと再会して新しい生活が始まったとしても、それで幸せになれるわけじゃない。
これから先も何度も同じことを繰り返すだろう。
つまり、「人生なんてそんなもん」。
舞台は道東のドライブイン。
久し振りに見た北海道の空がちょっとだけ懐かしかった。