７月３日（水）
午後１時起床。
風邪はどうにか回復に向かいつつある。
洗濯機を回しながら、録画しておいた『私立探偵 濱マイク』の第1話を観る。
悪趣味寸前の主人公のファッション、ネジの外れたキャラクター、圧倒的な美術。素晴らしい。世界が完璧に作り込まれている。毎回、監督が変わるという趣向もかなり型破り。個人的には、行定勲、青山真治のエピソードが楽しみ。
夜、北村薫の『リセット』（新潮社）読了。前２作のような大がかりな仕掛けはないが、その分しみじみとした味わいが増している。いつだって、どこにいても、私たちは「それ」を探している……という話。
７月５日（金）
業田良家『自虐の詩』（竹書房文庫）を読む。
強くて弱い人間の唯一無二の人生の唯一無二の「意味」。
噂にたがわぬ「伝説的」な傑作。
必読。
７月１３日（土）
とても暑い。が、青空は見えない。
薄墨色の雲が深くたれこめている。
そういう気候風土らしい。
この街には映画館がない。
正確にはシネコンしか映画館がない。
必然的に観る映画が少ない。
本日は『スター・ウォーズ エピソード２』の封切日。
これの前に観た映画は『ロード・オブ・ザ・リング』。
多分、次に観る映画は『二つの塔（ロード・オブ〜の続編）』だろう。
この２作品は比較して観るのが「正しい」姿だと思うんだけど、敵の首領格を演じるのが、どちらもクリストファー・リーであるというのは何だかなあ（『エピソード２』ではドゥークー伯爵、『ロード・オブ・ザ・リング』ではサルマン）。
気をとりなおして『エピソード２』について。
（若干、内容に触れます。未見で『SW』に興味のある方は読まないほうがよろしいかと）
お姫様の「護衛」ばっかりで「救出」がないのが、イマイチ盛り上がらない一因。救出に向かう対象が「母親」や「師匠」というのは渋すぎる。反面、旧３部作では呆れるほどに「お姫様救出」を繰り返していたのを思い起こすと、この禁欲的な脚本は確信犯かも、と思ってしまう。
流線型の宇宙船が「いつか見たような未来都市」に降り立つ冒頭のシーンから、クライマックスの闘技場まで、徹底的にキッチュなシーンのオンパレード。これこそが『SW』の愛すべき長所だが、また一方でSFの伝統芸能としての側面を強化していることも事実。無論、ルーカスが新たな「神話」を創ることを目指していた以上、作品が「伝統的」なものになるのは必然。
とは言え、現代において、この作品はどういう回路のもとで消費されるのだろうか？ ようするに、かつての『SW』が持っていた社会的なインパクトは『エピソード２』にはない。そして、社会への打撃力の低下という構図は映画だけに限った話ではない。
エヴァンゲリオン、宮崎駿を最後に、一般受けするアニメは姿を消した。一般人は『カウボーイビバップ』を知らない。アニメはまた８０年代的マニア内魔窟へと向かっている。
ゲームに目を向ければ、日本最大のメジャーシリーズであった『F．Ｆ』 がネットという自閉空間に移行した現在、かつてのような（高校生が平日の午前中からゲーセンでストUをやっていたような）影響力を失って久しい。
漫画の凋落たるや、さらに惨憺たるものであり、かつての『あしたのジョー』、僕らの世代なら『Ｄ．Ｂ』のような共通語は消滅した。
全ての作品の射程距離が短くなっている。
これがいいのか、悪いのか、僕にはわからない。
いま、みんなは「なにを」しているのか？
そもそも、「みんな」とは誰のことか？
たぶん、「みんな」なんて、どこにもいない。
そういう時代なのだろう。
７月２０日（土）
ビデオで『天使のくれた時間』を観る。
『クリスマス・キャロル』の変奏曲。
「泣ける話」のパターンということ。
出来が悪いわけがない。
「泣かせる」ためには、「泣き」の回路に観客を誘い込めばよい。
「泣き」のスイッチを起動させるためのシナリオは、偉大な過去の「遺産」がたくさんある。
あとは、アレンジの腕次第。
サンプリング（引用）とリミックス（編集）が作品を創る。
直木賞の選考会で「泣かせ過ぎである」とまで云われ（そして、受賞した）浅田次郎の『鉄道員』。
映画化されて、各賞を総ナメ。さらに漫画化、ドラマ化もされていて、作品的にも商業的にも紛れもない「成功作」。実はこの小説、日本人なら誰でも知っている有名な話が元ネタになっている。
わかるかなあ？
日本で「泣かせ」と云えばコレ、というぐらい有名です。
ヒント。戯曲が傑作。
はい、わかりましたね。
「鶴の恩返し」です。
これは泣くよね。
僕は詳しくないけど、某美少女ゲームでもエピソードのひとつに使われていたんじゃないかな。
大いに使え、ジャンジャン使え！
サタデースポーツのオープニングに絶句。
海の日、巨人戦、大相撲、全英ゴルフの映像が流れた後、キャスターが登場して番組スタート。
Ｊリーグは？ っていうか、今日は（サッカーの）次期代表監督が決まったんじゃないの？
いいかげん、日本のマスコミはサッカーの「人気がない」ことを認めるべきだと思う。
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