５月17日（金）
半年ほど前に引っ越した。とりあえず記しておく。この日記みたいなものに、いくらかでも客観的な記録性を付与するために。
人間は自分の一生よりも長い時間を体験できない。時間とは１人で食べるバースデー・ケーキのようなものだ。その大きさははっきりとはわからないかもしれないが、おおまかな量は見当がついている。生まれ落ちた瞬間に誰もがみな１個のバースデー・ケーキを与えられる。ケーキをどう配分するか、それが時間の（つまりは人生の）使い道というやつだ。
このサイトは２年前に開設された。いつのまにか２年も経っていたのだ。ここ1年は全く書いてなかった。久し振りの更新になるわけだが、次の更新は１年後になるかもしれない。２年後かもしれない。１０年後かもしれない。いずれにせよ、その時には開設からそれだけの日数が『自動的に』経っているわけだ。何もしていなくてもバースデー・ケーキは着々と減りつづける。
バースデー・ケーキをどう使うかは各人の勝手だ。
僕はそろそろケーキの無駄遣いに気をつけようと思う。目につくものを手当たり次第に片っ端からかき込むのは、やめにしようと思う。ケーキは1個しかないんだから。
最近の僕のテーマは「いかに本を買わないか」だ。
〜付記〜
休日にビデオをよく観るようになった。
ちょっと寸評めいたものを。
『風花』
クライマックス直前に浅野忠信を動かしたものがモラルというものだ。実は「ヒーローもの」。
『ダンシング・ヒーロー』
とても狭い世界を描きながら、普遍的な物語へと昇華させている。ある種の神話性。
『バッファロー’66』
人にすすめたくなる映画。
『恋人たちの予感』
同じ日に『バッファロー’66』を観た。この２本の映画が同じ国を舞台にした恋愛映画だとは、とても思えない。
『ロック・ユー』
原題の「ナイツ・テイル」の方が秀逸。寓話性が高まる。いつの時代にも、どこの世界にもいる「騎士」の物語。
『接続』
脚本がうまい。ふたつのストーリーがきれいに並行して進んでいく。ディテールも抜群。
『ウォーター・ボーイズ』
すごくいいところと全然ダメなところが同居している。真ん中を走っているものは素晴らしいのに、脚本の無神経さが台無しにしている。もったいない。
『GO』
たしかに面白い。物語の基本は極めてレトロ。柴咲コウがよい。『バトル・ロワイアル』の時にもカンのいい子だなと思ったけど、「頭のいい演技」をする人です。窪塚はやや不安定。逆にそこが魅力になっているとも云える。
５月１８日（土）
雨は夜に限る。
朝の雨は陰鬱なだけだ。
「その日は朝から雨が降っていた」
こう書いただけで気分が滅入ってくる。
夜の雨。
水溜りの中から異界が噴出するような気配。
雨は夜に限る。
５月３０日（木）
ビデオで『メリーに首ったけ』を観る。
キャメロン・ディアズはこれでブレイクしたわけだが、たしかに素晴らしい。昇り調子の人間がもつオーラを発散している。